第11話・ラビット、将棋部脱退

[前回までのあらすじ]
 再び大学初期の頃の話し。
 ラビは無線部と将棋部に所属していたのが、なぜ彼は将棋部を辞めたのか?
 幽霊部員になりつつも消えたその原因に迫る!


第11話 ラビット、将棋部脱退


 この日、海ちゃんは体育の授業で体育館に来ていた。
 当時の同じ部員であった「英ちゃん」と共に受講していたのである。
 それにまだ3回目という事で英ちゃん以外とは話す事はなかった。
 この日はバスケだったのだが、一人だけ体育と縁のなさそうな人がいた。
 最初の頃から気になっていた人なのだが、髪型が微妙で背は小さく、ひげが濃い。
 言うなれば「オタク」と言った方が適切である。
 その彼と3回目の授業にして話す機会があった。
「バスケは楽しいですね。どこの学部なんです?」
 私から話かけてみた。
「文化の2年だよ」
 意外と話安かったが、まさか一個上だと海ちゃんは思わなかった。
「へぇ~そうなんですか。僕も文化なんですよ。ちなみに部活はやってるんですか?
 僕はSB部に所属しているんですよ。あそこに居る英ちゃんもそうなんです」
「そうなんだ。俺は地味だけど将棋部だよ」
 顔の割には俺って言葉を使うんだぁと思いながら聞いていたのだが・・・
(あれ?将棋部?確か奴も・・・)と思い、
「もしかして、法学部一年でラビットって奴が入りませんでしたか?」
 と聞いてみた。
「ああ、ラビット君?知ってるよ。あのメガネの子でしょ」
「そうです、そうです。アホ面にメガネを掛けた奴です(笑)彼とは同じ下宿なんですよ。 彼の腕前はどうです?」
「ん?ああ、この前戦ったけど、みんなから負けてたよ。多分一勝もしてないんじゃないかな」
 弱!っと心の中で突っ込みを入れていた。
「ところでラビット君とは同じ下宿なんだよね?伝えてもらいたい事があるんだけど、いいかな?」
「ええ、いいっスよ」
「彼はその時の勝負以来部室に来てないんだよね。一応彼も将棋部だから、部費の5000円を払いに来てと伝えてもらいたいんだよ」
 将棋部のくせに高いな、と思いながら
「分かりました。伝えておきますよ」
 二つ返事で引き受けた。

--その夜--

「外道君、君に伝言を頼まれているのだよ」
 相変わらず海ちゃんの部屋に遊びにきていたラビに海が言った。
「え?何?何かの告白かい?」
「アホが!」
 心で言った事をついつい声に出してしまった。
「いやいや、最近君が将棋部の幽霊部員になりかけていると聞いてね。 それでもある人物から部費を払えと言われているのだよ」
「部費?5000円でしょ?しかも前期と後期の2回払わなくちゃいけないんだよー。 そんなお金ないよー。それに無線部の方が忙しいし」
「おいおい、そんな事言われても僕が困るよ。僕は伝言を頼まれているだけだし。」
「適当にごまかしておいてよ。じゃぁねー」
 と言ってラビは自分の部屋に戻っていった。
「このバカビットが!」

--翌週--

「いや~、ラビットに伝えたんですけど、彼は無線部の方が忙しいみたいでして、 なかなか将棋部の方には行けないみたいですよ」
(ちきしょー、何で僕が外道の肩を持たにゃならんのだ!)
「ラビット君はサークルを掛け持ちしてるんだ。知らなかったなぁ。ふ~ん」
(おいおい、何だその目は?何でいかにも僕が悪いような目で見るんだこのオタク野郎は)
「うん、分かったよ。とりあえず今後とも彼に伝えておいてくれる?」
「は・はぁ、いいですけど・・・」
(先輩面しやがってこのオタク野郎!何が「分かった」だ! なんでワシがそげん事をせにゃならんのだ!全然分かってねーよ!)

--その夜--

「・・・という訳なんだよ外道君。むかつくよな」
「うんうん、分かるよ。しかし君も災難だね」
「は?全部おめーのせいじゃねーかよ!アホが!」
「おいおい、とばっちりはゴメンだよ」
「だからテメーのせいだって言ってんだろうが!とっばちりはこっちだよ!ボケが!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
「何で君と関わるとろくな事がないんだろうなぁ。ほんと厄病神だぞ」
「人生楽しい方がいいじゃないの?な、海ちゃん♪」
「このピーナッツ野郎が!お前の人生も落花生のように落下をたどる事になるぞ!」
 結局ラビはお金を払わずに幽霊部員となり、いつの間にか将棋部を去っていた。
 その後、その先輩とは授業で顔をよく合わせるのだが、目を合わせないようにしている。


[次回予告]

 メル友を探そうとする海ちゃん。
 ラビも是非探したという事で一緒にやる事になったのだが・・・
 またもやバカビットのおかげで海ちゃんが大変な目に?
 
 次回 「第12話 ラビット、バカビット」にご期待下さい

 -----------[総監督・原作・監修] 海ちゃん----------
         [制作協力] みっつ 




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